詩3 エルピス

エルピス


 夕立
 繁華街の珈琲屋のひさしに駆け込んできた
 女学生は荒い息のまま
 瑠璃色のかばんから携帯をとりだす
 とそれは蛍のように灯って
 思春期のおそらく十七光年を経て辿りついた星の言葉を
 余念なく捺してゆく
 (ここにあらずの心の
  謳 [うた] に類した捜索願い)

 

  虹
 そして小降りになるやいなや
 匂い立つアスファルトの上を
 月面でする跳ぶような足どりで往った
 ふたつの笑くぼと乳房とたずさえて
 (愛 [リーベ] と名づけた品種を採りに
  雀躍と)