2017-06-24 詩3 エルピス エルピス 夕立 繁華街の珈琲屋のひさしに駆け込んできた 女学生は荒い息のまま 瑠璃色のかばんから携帯をとりだす とそれは蛍のように灯って 思春期のおそらく十七光年を経て辿りついた星の言葉を 余念なく捺してゆく (ここにあらずの心の 謳 [うた] に類した捜索願い) 虹 そして小降りになるやいなや 匂い立つアスファルトの上を 月面でする跳ぶような足どりで往った ふたつの笑くぼと乳房とたずさえて (愛 [リーベ] と名づけた品種を採りに 雀躍と)